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「DNAが合わない」と言われた夫婦が選択した道 「寝返りを打たないで」と夫から言われた妻

寝返りを打つだけで怒りだす夫にどのように対処すべきなのでしょうか

寝返りを打つだけで怒りだす夫にどのように対処すべきなのでしょうか(写真:Fast&Slow/PIXTA)

「家族関係」に関するお悩みはどの世代の方もそれぞれにあるものです。「家族」であるからこその関係性のあり方、「血のつながり」や「パーソナルスペースを共有する」ゆえの難しさがあります。「ほっと肩の力を抜く場所であるはずの帰る場所」が、まさにストレスの現場になっている方は多いのです。家族であろうと、多くのストレスの原因は、「対人関係」です。そして、癒やすのもまた「人」なのです。ただ気持ちにふたをしては根本解決にはなりません。「なぜそうなのか」を知ることはとても重要です。生活カウンセラーの筆者がよりよいコミュニケーションをとる方法について解説していきます。

「相談がある」と友達から数年ぶりの連絡

「ちょっと相談があるんだけど……」

学生時代の同期の紗季(仮名、当時37歳)が数年ぶりに連絡をくれました。

彼女は29歳のときに友人の紹介で知り合った3歳年上の彼と1年間の交際を経て結婚。当時はイケメンの彼が自慢げで幸せいっぱいといった感じでした。

紗季とはしばらく会っていなかったし、この数年お互いどうしていたか積もる話もしたかったので、サロンへ来てもらうのではなくランチがてら会うことにしました。

学生時代から明るくハツラツとしていた紗季は相変わらずの笑顔で元気そうに振舞っていましたが、目は充血し、やや疲れた表情でした。「相談がある」と連絡がくるのはよっぽどだと思い、世間話もそこそこに「紗季が相談事だなんて珍しいじゃん。旦那さんとはうまくいってるの?」と、まずは当り障りのない話を振ってみました。

「それなんだけどさ……。うちの旦那ちょっと変わってて、誰にも言えなかったんだけどいろいろ常識では考えられないようなことが多すぎて……。ちょっと限界というか、離婚するべきか悩んでるんだよね」

紗季は、昔から個性的な男性に惹かれる性分だったので、「変わってて」というところにはあまり驚かなかったのですが、“離婚を考えるほど変わっていること”について詳しく話を聞くことにしました。

「家にいても疲れがまったくとれないの。というか、全然寝れないの。だってさ、旦那と同じベッドで寝てるんだけど、“寝返り打たないで”とか言われて、冗談かと思ったら、寝返り打ってベッドが揺れるたびに目が覚めるからってガチギレされるしさ。

だからって別の部屋とかに布団敷いて寝ようとすると、またガチギレするんだよ。もう布団に入ると横向いて固まったままで私マジヤバイんだけど」

それを聞いた私はうっすらあることが頭をよぎり、ほかにも神経質な行動がないか詳しく聞いてみました。

「テレビのリモコンの電波を受信する数ミリの小さな赤い明かりが嫌だから、ばんそうこうを貼れと言われる」

「カーテンからの隙間を怖がって、少しでも開いてしまうと起こされてしまう」

「仕事がとにかく続かなくて、1年もったことがない」

「時間管理や持ち物管理ができなくて、忘れ物や遅刻が日常茶飯事で1週間でクビになる」

「紗季の周りの友人らに、紗季と縁を切ってくれとキレながら電話してまわった」

「同性でも紗季と親しくしている人が気に入らない」

「言葉のキャッチボールができない。こっちが強く言うとパニックになる」など、出てくる出てくる。

発達障害かもしれない

「ご主人、発達障害かもしれないね」

この相談を受けた数年前の当時は、まだ今ほど大人の発達障害がニュースになっていなかったので、紗季はピンときていませんでした。私はその場でネット検索し、スマホを紗季に渡し、チェックテストをしてもらいました。

「……どうしよう。全部当てはまってる。ずっと、なんでたろうって理解できなかったけど、ようやく腑に落ちたよ。本人と話し合おうにも話にならなくて、本当にしんどかったけど理由がわかって少しほっとしたよ」

よくよく話を聞けば、結婚すると決まった際に旦那さんの母親から、「本当にうちの息子でいいのか。大丈夫なのか」と何度も心配されたといいますし、紗季の家族はずっと結婚には反対だったそうです。

しかし、反対されるほど「私なら大丈夫」と思ってしまい、「結婚」という二文字に舞い上がっていたし、結婚して一緒に住むまではそこまでとは思っておらず、「個性的で面白いじゃん!」なんてあまり深く考えていなかったそうです。

発達障害と一言で言っても、どのような生活習慣があるかは人それぞれですので、必ずしも全員がこうというわけではありませんが、これはとても難しい問題です。

紗季は見るからに疲労困憊していますし、何しろ睡眠がとれない状況なうえに、近しい友人らとも縁を切らされて八方塞り。さらには旦那さんが働けない分の経済的負担もすべて紗季にのしかかっています。このままでは紗季のメンタルが崩れるのも時間の問題です。

「発達障害の可能性があって、旦那さんのご両親も自覚があるのであれば、一度、旦那さんのご両親も含めて家族みんなで情報の共有をしておいたほうがいいね。1人で解決できる問題ではないから、まずは旦那さんと一緒にメンタルクリニックに行っておいで。

発達障害とか適応障害って、病気じゃなくて“障害”なんだけど、“勝手に舗装されている今ある社会の道が合わないだけ”というか、“道を歩かなきゃいけないのに、進む手段が船しかありません”みたいなことだから、治す、治さないというよりは、まずは紗季がゆっくり寝れる環境と、旦那さんに合う仕事のアドバイスをもらうつもりで行くといいよ。

きっと本人は自覚がなくて、メンタルクリニックに行くのも嫌がるだろうから、そのときは向こうのご両親にも協力してもらって、専門家に一度相談に行くほうがいいね」

紗季は、抜け道を見つけた感じでほっとした表情を見せ、私の話を真剣にメモしながら続けて言いました。

子どもができなかった

「実はもう1つあって……。私、どうしても子どもを産みたいの。絶対ママになりたいと思ってて、子どもが欲しくて結婚したくらいの気持ちなんだけど、何度してもダメだったから、先日レディースクリニックに行って検査したのね。そしたら、私の子宮年齢は20代で子宮も卵子も超きれいで元気だって言われて、すごくうれしかったんだけど……」

「よかったじゃん! 35歳過ぎると自然妊娠の確率は10%切ると言われてるから子宮年齢20代なんてすごいじゃん!」

「うん……。旦那も検査してもらったら、2人とも問題はなかったの。でもさ、体外受精したときクリニックの先生に、“もうこれはDNAが合わないです”って言われたんだよね……」

DNAが合わない? そんなことがあるのか?

主治医が何をもって“DNAが合わない”としたのかはわかりませんが、思いもしない結果にとても驚きました。

昔から面倒見のよい紗季の性格を考えると、旦那さんの問題よりもこちらの問題で“離婚”を考えるようになったのだとすぐにわかりました。DNAが合わないというのは、もう2人の子どもの可能性はゼロだということですから、「どうしてもママになりたい」という紗季としては崖から突き落とされたようなものです。

「それはなんともまた難しいことになってたんだね。さっきの話だと、子ども産まずして旦那さんと添い遂げるっていう思いは薄いよね、きっと。というより、もう離婚する方向で気持ちは固まってるんじゃない?」

「うん。そうなんだと思う。うちの両親ははなから反対だったから、離婚には賛成すると思うんだけど、旦那と向こうの両親になんて言えばいいのか……。まず旦那に話が通じるかっていう問題もある」

「確かにそうだね。きっといきなり“離婚”って話したら、ご主人パニックになっちゃうと思う。向こうの両親には絶対に事前に話しておいたほうがいいね。いざ離婚ってなった場合、ご主人が自分で家賃払って1人暮らしをしていけるとは思えないから、きっと実家に戻るでしょ。

それに、極端な話になるけど、パニックになっていきなり飛び降りとか何か予測しえない行動をとる可能性もなきにしもあらずだから、向こうのご両親と情報共有して、ご主人を見守っておいてもらうようにしておいたほうがいいね」

半年ほどして紗季から「離婚届を出してきた」と連絡がありました。

私と会った数日後には、ご主人のご両親に、睡眠がとれずにいること、生活行動が合わないこと、コミュニケーションがとれないこと、ご主人の仕事が続かず経済的負担の大きいこと、子どもができないと言われたこと、離婚したいと思っているのですが、パニックになって自殺とかしてしまうのではないかと心配なので息子さんを気にかけてほしいと思っていることなど、先日私に話してくれたすべての状況をありのまま手紙に書いて伝えたといいます。

ご主人のご両親もはじめはやや動揺していたようでが、義理の母はすぐに理解を示してくれたそうです。

そして、すぐにご主人に「離婚したいと考えている」と切り出し、案の定突然のことでパニックで部屋をウロウロとしているだけで最初は会話にはならなかったそうですが、本気で考えているということを1カ月以上にわたり説得。それにはさすがに、ご主人も、「本当に離婚するんだ」と理解したようで、承諾。

再婚してすぐ妊娠

そして、いざ離婚届けを出しに一緒に市役所へ出かけた際は、やはりご主人は途中パニックになり、手が震えてうまく印鑑が押せなかったと言っていましたが、大きな心配には及ばずに、なんとか離婚届け提出ができたそうです。

紗季は、離婚後しばらくたってから出会った1つ年下の男性と再婚をしました。

しかも、交際して間もなく初めて結ばれた日の、そのたったの1度で懐妊。自然妊娠が難しいと言われるアラフォーです。これを聞いたときにはまたもやとても驚きましたが、無事に高齢出産を乗り越え現在は幸せに過ごしています。こんなことってあるんですね。

今回の件は、決してご主人が悪いわけではありません。夫婦になるうえでの“幸せ”の目的がお互いに合わなかったという一例ですが、自分の身を滅ぼしても夫婦として留まればいいというものでもありません。幸せの天秤がどちらかに大きく傾くのではなく、なるべく並行していけるお相手と一緒になれたらいいものです。


以上ですが、如何でしたでしょうか?
最後におっしゃっているとおりで、発達障害の人が悪いとか、パートナーが悪いとかではなく、相性やタイミングがほとんどだと思うんです。もちろん努力せずに、全てを相手のせいにするとかではダメですが、お互い努力して上手くいかなければ、もうそれは運命なんだと思うしか無いと思います。いつまでも悪い状態をズルズル続けてしまうことほど良くないことはありません。ですので、発達障害を抱えている人は、家庭でも苦労していると思いますが、最後は諦める、運命を受け入れるということも、人生の最後に笑うコツかも知れませんね。


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