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日本人が知らない「シリア難民」の不条理な現実 気づきを与えてくれる「ZENOBIA」のスゴさ

いま、シリアの過酷な実態を絵描いたグラフィックノベルを日本に広めるプロジェクトがスタートしている(イラスト:『ZENOBIA』より

さまざまな社会問題と向き合うNPOやNGOなど、公益事業者の現場に焦点を当てた専門メディア「GARDEN」と「東洋経済オンライン」がコラボ。日々のニュースに埋もれてしまいがちな国内外の多様な問題を掘り起こし、草の根的に支援策を実行し続ける公益事業者たちの活動から、社会を前進させるアイデアを探っていく。

シリア内戦を描く『ZENOBIA』

シリア内戦の前後を生きる少女を描いたグラフィックノベル『ZENOBIA(ゼノビア)』。2016年11月にデンマークで出版されて以来、世界15カ国で翻訳され数々の賞を受賞してきました。この本を日本でも翻訳出版したいと、クラウドファンディングが始まっています(2月18日に達成し募集終了。2019年夏以降に全国書店で刊行予定)。

クラウドファンディングの発起人は、『ZENOBIA』の著者・Morten Dürrさんの留学時代からの友人、荒木美弥子さん。2年前に偶然SNSで再会し、Mortenさんが児童書作家になったことを知りました。本や海外のアートが好きだった荒木さんは、「どんな絵本なの? 見せてほしい!」と懇願。最新作として差し出されたのが『ZENOBIA』でした。

【あらすじ】

小さな村の少女アミナのもとにもシリア内戦の影は刻々と近づきつつあった。

戦火を逃れるためアミナはボートで国を脱出しようと試みるが、荒波に襲われ船は転覆してしまう。『ZENOBIA』の表紙絵

(イラスト:『ZENOBIA』より)

暗く深い海の中、アミナは村での出来事を思い出す――お母さんとかくれんぼで遊んだこと、ドルマというぶどうの葉っぱでつくる料理を一緒に作ったこと。おじさんと船に乗り込むまでの旅路。そしてシリアの女王ゼノビアのこと。

強い意思をもつゼノビアは当時の帝国ローマにも屈しなかった。アミナがくじけそうになったとき、お母さんは よく「ゼノビア のように強くなりなさい」と元気付けてくれたのだ。

子どもの目線で描かれた不条理な現実。

繊細なイラストと言葉で紡がれたこの本のメッセージは、国境を超え、あらゆる世代の心に 戦争の意味を投げかけています。

「サウザンブックス」の翻訳出版プロジェクト『ZENOBIA』より)文:Morten Dürr(モーテン・デュアー)
1968年生まれ。これまでに数々の賞を受賞し、56冊の著書は18カ国で出版されている。またデンマークの文化省より優秀な作家にのみ付与される助成金を獲得。コペンハーゲン大学で 映画とメディアを勉強した後、ロンドン大学 大学院でラジオとメディアを学ぶ。現在2人の娘とともにコペンハーゲンに在住。絵:Lars Horneman(ラース・ホーネマン)
1966年、デンマーク生まれ。これまでに100冊以上の本のイラストを手がけ、本作品ゼノビアでは、デンマーク文化省からイラストレータープライズを受賞。

「知るきっかけ」を与えてくれた

荒木さんが『ZENOBIA』の中で印象に残ったのは、紛争が始まる前にアミナがお母さんとかくれんぼをするシーンでした。

「シリアは悲惨な部分やショッキングな部分だけが映像で取り沙汰されている国ではあると思うのですが、平和だった時期は普通の家庭と同じようなシーンがあって、普通の親子の絆があって、幸せな空間があって。そういうことをすごく穏やかに伝えてくれている。どの家庭にも、どの子どもにも、こういった世界があって然るべきだということを、短い言葉と絵で伝えてくれる、すごくいいシーンだなと思っています。

自分の子どもに置き換えたときに『ちょっと考えられないな』と、ふと気づくシーンだと思うんですよね。シリアの話をしていますが、自分たちに立ち返って、いろんな気付きを教えてくれる本です」

もともとシリアに関して強い関心があったわけではないという荒木さん。『ZENOBIA』は「知るきっかけ」を与えてくれたと話します。

「(『ZENOBIA』と出会ってから)いろんな方と知り合い、以前よりもシリアについて知れるようになり、この知識を基にまた何か新しいことを学んでいくきっかけになりました」

考えてほしい、感じてほしい

 「いい本だな。日本でも紹介したい。私と同じ経験をしてほしい」と思った荒木さんでしたが、日本で翻訳出版するのは容易ではありませんでした。イラストはリアリティのある描写と落ち着いた色使いで読みやすい

(イラスト:『ZENOBIA』より)

「馴染みのない国の話ですし、カラーなので印刷するにもお金がかかる。ベストセラーになりうるかというと、多分そうではない。そういった本って、この昨今の出版の状況とかを考えると配給するのが難しい。すごくいい本なんだけど、ビジネス的に難しいから日本に入ってこない本って、この本に限らずいっぱいあるんです。それがすごくもったいないなと。世界で何カ国語にも翻訳されていろんな子どもたちの手に渡っているのに、日本に来ないというのはすごくもったいないなと思ったのが、クラウドファンディングを始めた動機です」。

荒木さんは、クラウドファンディングを成功させ、日本の多くの子どもたちの手元に『ZENOBIA』が届くことを願っています。クラウドファンディング発起人・荒木美弥子さん

(写真:GARDEN Journalism)

「これは『今は何年何月で、どこの話です』という話ではないんですよね。想像力がすごく膨らむ本。自分の考えを膨らまし、その考えを誰かと意見交換していくとか、お母さんとお話するとか、そういうきっかけのための本。何を伝えたいかじゃなくて、考えてほしい、感じてほしいというための本だと思います。

小さいお子さんと一緒に読むときにそこまでの話にならなくても、もっと先になって『ああいう本、読んだっけなー』とか『もう1回読んでみようかな』とか、そういった気持ちになってもらえるといいなと思います。小・中学生になってから繰り返し読むと、また新しい発見や、新しい考え、気付きが出てくると思うので。そこが本のすばらしさだと思うし、本の力だと思います」

以下、『ZENOBIA』著者・Morten Dürrさんからのメッセージを紹介します。

あえて「児童書」として作った理由

「こんにちは、『Zenobia』の著者Mortenです。2016年にこの本を書きました。難民について人々がこれまでとは“別の方法”で話すことができる本を作りたいと思いました。なぜなら、その当時人々は非常に抽象的な方法で難民について話していたからです。彼らは数と統計について話していました。彼らは本当に難民を人間として、つまり仲間の人間として見ていませんでした。このような簡単に読める本を作ることによって、シリア難民の顔が見えるように伝えたかったのです。私は児童書作家なので、児童書として本を作ることにしました。

私の本には、2つのポイントがあります。

第1に、人々に立ち止まって、ゆっくり考えさせることです。ソーシャルメディアで難民について議論する代わりに、この本を読んで静かに考える時間を持ってほしいのです。ただ立ち止まって考えてみて欲しい。『難民になるとはどういう意味だろうか?』『自分がそのような状況にあったとしたらどのように感じるだろうか?』と。

第2に、私は子どもたちにも読んでもらえる本にしたかったのです。なので、絵が大きく文字の少ない、とてもシンプルな本にしました。世界で何が起こっているのかについて子どもたちと話すことは非常に大切だと思います。子どもたちはどんな方法であっても、情報を見つけることはできます。例えば、インターネットで難民や世界のほかの問題についてのニュース記事を見つけるでしょう。しかし、オンライン記事は彼らを混乱させたり怖がらせたりするかもしれません。ですから、本がいいかもしれませんね。彼らはこの本を読んで、『この本は何について書かれているのか』『この本の中で何が起こっているのか』について、大人に尋ねることができます。『ZENOBIA』の文を担当されたモーテン・デュアーさん

(写真:「サウザンブックス」の翻訳出版プロジェクト『ZENOBIA』より )

これら2つの理由で私は本を書きたかったのです。振り返ると、この本は多くの国を旅行してきました。18カ国で出版される予定です。非常に驚き、感謝しています。私がこの本を書いた理由は、この本がこれらの国々の読者に関係しているのと同じ理由だと思います。彼らは、戦争や難民の悲劇を顔が見えるように伝える必要性があると感じているのです。そして多くの人は、児童書の中でこれについて話してもいいのだと感じています。児童書だけではありません。しかし、この本はあなたの子どもたちと一緒に読める本として役立つでしょう。日本でも同じように読んでいただけるよう、祈っています。ありがとう」


今回の内容は発達障害に関係ないと思いますが、紹介したいと思い記事にいたしました。
日本では、難民に馴染みが全くありませんが、実は日本にも難民申請というのは結構あります。ただ、それを日本政府が受け入れていないだけで、申請自体は多くあります。ただ、最近は日本は難民申請しても通らないと知られているので、申請も少しは減っているのかもしれませんが。

ただこれから先、少子高齢化になり外国人がますます身近になる中で、多様性や他の国の人達にふれる機会も増えると思いますし、いろいろな人達と協力していかなければ日本が立ち行かなくなる可能性もあります。

当サイトに来られる方は、発達障害にゆかりのある方ですので、マイノリティに寛容だと思っています。ですので、せめてこちらに来られる方には、色々な方を受け入れる心構えやご紹介が出来ればと思いました。


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